壁の中の彼氏

 だけど亜美は他に気がかりなことがあって、 友惠に声をかけることができずにいた。
 ゴーストライター。
 優子が言っていた言葉が、ずっと脳裏にこびりついて離れないでいたのだった。

☆☆☆

「ただいまぁ」
 疲れ切った気分で自室に入ると、自然とそう声をかけた。
「おかえり」
 聞こえてくるのは男の声。
 年齢は何歳かわからないけれど、それほど年をとっているようには聞こえない。
 亜美ため息をつきながらカバンを床に投げ出してベッドに横になった。
 今日は楽しい一日なるはずだったのに、優子とアミのせいですっかり疲れてしまっていた。