壁の中の彼氏

「だけど転校してくる前はコンテストに参加すら、してなかったんだよね」
 亜美は小さく頷いた。
 作家になりたいという夢は持っていたけれど、具体的にどう動けばいいかわからなかった。
 ただ一人で、誰にも夢を打ち明けることなくもくもくと作品を書いていただけだ。
「コンテストに参加するのって勇気がいるよね。どうして参加しようと思ったの?」
「それは、チャレンジしてみたくなったから」
 アミがコンテスト情報を教えてくれなければ、今でもコンテストに参加していたかどうかはわからない。
 その点に関してはアミに感謝していた。
「それで、チャレンジしたら見事才能があったってわけ?」
 そう言ったのは優子だ。