壁の中の彼氏

 友惠が亜美の半歩前に出てふたりに視線を向けた。
 この強気な視線が優子とアミは苦手だと、友惠は知っているのだ。
「福田さんは新入部員なんだから、部室の掃除をしてから帰ってくれない?」
 アミがホウキを突きつけて言う。
「なに言ってるの? 亜美は家に帰ってからも執筆してて磯がいいんだから、それくらい他の人がやるべきでしょう?」
「忙しいのはみんな同じでしょ。福田さんは入部してから雑用的なことはなにもしてないじゃない。先生に気に入られてるからって、それはないと思うよ?」
 優子の言葉に亜美は返す言葉を失った。
 言われたとおり亜美は部室の掃除をしたことがなかった。