壁の中の彼氏

 そう言うと優子はようやく納得したように頷いたのだった。

☆☆☆

 文芸部内での小さな確執をのぞば亜美の転校してからの生活は順調と言ってよかった。
 クラスでは友人の友人ができて、友惠とは休日に遊びに行くくらい仲良くなれた。
 授業の進みはこちらの学校の方が少し遅かったから、ついていくのは問題なかった。
「コンテスト用のネタできた?」
 授業の間の休憩時間中、ノートとにらめっこをしていた亜美のところへ友惠が近づいてきた。
 友惠はすでにコンテンスト用の短編小説を書き始めているらしいけれど、私はまだネタすらできていない状態だった。