私、こんなところで何をしているんだろう?

さっきまでしていたことを思い出す。
確か、電車に乗ってどこかに向かっていたような……。

それで駅に着く前に寝てしまったんだ。

でもここは電車の中ではない。
それに私、どこに向かっていたんだろう?

「目が覚めたみたいね」

背後から声が聞こえる。
後ろを振り返ると、声の主がそこに立っていた。

その人を見て、思わずギョッとしてしまう。

「あ、あなたは……」

そこには私そっくりの人が立っていた。
まるで鏡でも見ているような気分。

「私のことわかっているでしょ?」

ニヤリと彼女が不敵な笑みを浮かべる。

「私はあなた。でもあなたは私じゃない」

彼女の言っていることがいまいちピンとこない。

「ねえ、ここはどこなの?」

「聞かなくてもあなたは知っているでしょ?」

ここがどこか私が知っている?

嘘だ、そんなことあるわけない。
だって私はここに初めてきてんだから……。

ズキっと頭の奥が痛む。

違う、初めてじゃない。私はここに一度来たことがある。

「あなたは望んでここにきた。あなたが望んだからここが生まれた」

もう一人の私がゆっくりと近づてくる。
「いや、望んだのはあなたじゃなくて私だったわね」

同じ身長、同じ髪の長さ。そして同じ中学校の制服を着ている。
目の前にいる少女はそっくりそのままの私だ。

頭の中で何かがごちゃごちゃと混ざっているような気がする。
思い出せそうで、けど何も思い出せない。

「今、全て思い出させてあげるわ」

目の前の私がコツンとおでことおでこをぶつけてくる。
その瞬間、頭の中に今までの記憶が恐ろしいスピードで流れ込んできた。