クラスの誰とも話をしないまま、放課後を迎えた。
帰りの会が終わるとすぐにコウは教室をでた。
今すぐにでもコウを追いかけたい。でもそれを見られたらまた花村さん達になんて言われるかわかったもんじゃない。
少ししてからテニスバッグを持って教室を出ると更衣室のある体育館に向かった。
コウとすれ違うこともなく、着替えを済ませてテニスコートに向かう。
コートに着くとコウの鞄が置いてあった。
よかった、部活には出ているんだ。
すぐに鞄を置き、ランニングに向かう。
コウはもう先に走っている。だったらどこかでコウと会えるかも。
コウを探すようにいつもよりもペースを上げる。でもコウの姿は全然見えない。
ねえ、コウはどこにいるの?
ランニングが終わるとコウは先輩達と笑いながらアップをしていた。
いつも通りの爽やかな笑顔。
だけどどこか周りに話しかけるなとでも言うようなオーラを感じた。
そのせいもあり練習中もコウに話しかけることはできなかった。
コウは先輩達に混じって楽しそうに練習しているし、それに女子テニス部の私を見る視線が刺々しかった。
昨日の市川さん達との話がすぐに広まっていた。
女子のネットワークって本当に怖い。クラスや部活など別なコミュニティーを通じて、すぐに多数の人に広まっていく。
私みたいにどこのコミュニティーにも属してない人は置いてけぼりだ。
また私を除いて他の人が集まってこそこそと話している。
私のことか、コウのことでも話しているのかな……。
「ねえ、伊崎君」
市川さんがコウを呼ぶ声が聞こえた。
「今度、私とテニスの特訓してくれない?」
自分に関係のないことなのにドキッとする。
「ごめん、最近ちょっと忙しいんだよね」
やんわりとコウが断ると何故かホッとする自分がいる。
「何で? 竹口さんとは特訓したんでしょ?」
「その時はたまたま暇だったからさ」
「じゃあ、伊崎君が暇な時教えてよ」
「最近、宿題やってなくて先生にも怒られたりしてさ。それじゃあまた今度な」
コウが逃げるように市川さんから離れていく。
へっ。ざまあみろ。
そう思ってたとこまではいいんだけど……。
「何、またあんた伊崎君のこと独り占めしてんの?」
部活の練習が終わると市川さん達一年女子に呼ばれてしまった。
「私は何も関係ないよ」
「じゃあ、何であんたは伊崎君と遊んでるのに私たちは無理なのさ?」
そんなの、コウに聞いてよ。
そう思ってもそのまま言えるわけもなく。
「大してテニスも上手くないくせに。伊崎君と仲良くしてるの本当ムカつく」
そう言い残して、市川さんたちは私の元から離れていった。
最後の市川さんの一言がずきりと刺さる。
コウは私なら勝てるって言ってくれた。
あれは部活で一番弱い私を励ますための嘘だったの?
今の私には部活にもクラスにもどこにも居場所がない。
そしてコウもそばにいてくれない。
どうしてこんなことになっちゃたんだろう。
私、どこかで選択を間違えたのかな?
別な世界に私がいるなら、こんなことにはならなかったのかな。
呆然としたまま、しばらくその場から動くことができなかった。
帰りの会が終わるとすぐにコウは教室をでた。
今すぐにでもコウを追いかけたい。でもそれを見られたらまた花村さん達になんて言われるかわかったもんじゃない。
少ししてからテニスバッグを持って教室を出ると更衣室のある体育館に向かった。
コウとすれ違うこともなく、着替えを済ませてテニスコートに向かう。
コートに着くとコウの鞄が置いてあった。
よかった、部活には出ているんだ。
すぐに鞄を置き、ランニングに向かう。
コウはもう先に走っている。だったらどこかでコウと会えるかも。
コウを探すようにいつもよりもペースを上げる。でもコウの姿は全然見えない。
ねえ、コウはどこにいるの?
ランニングが終わるとコウは先輩達と笑いながらアップをしていた。
いつも通りの爽やかな笑顔。
だけどどこか周りに話しかけるなとでも言うようなオーラを感じた。
そのせいもあり練習中もコウに話しかけることはできなかった。
コウは先輩達に混じって楽しそうに練習しているし、それに女子テニス部の私を見る視線が刺々しかった。
昨日の市川さん達との話がすぐに広まっていた。
女子のネットワークって本当に怖い。クラスや部活など別なコミュニティーを通じて、すぐに多数の人に広まっていく。
私みたいにどこのコミュニティーにも属してない人は置いてけぼりだ。
また私を除いて他の人が集まってこそこそと話している。
私のことか、コウのことでも話しているのかな……。
「ねえ、伊崎君」
市川さんがコウを呼ぶ声が聞こえた。
「今度、私とテニスの特訓してくれない?」
自分に関係のないことなのにドキッとする。
「ごめん、最近ちょっと忙しいんだよね」
やんわりとコウが断ると何故かホッとする自分がいる。
「何で? 竹口さんとは特訓したんでしょ?」
「その時はたまたま暇だったからさ」
「じゃあ、伊崎君が暇な時教えてよ」
「最近、宿題やってなくて先生にも怒られたりしてさ。それじゃあまた今度な」
コウが逃げるように市川さんから離れていく。
へっ。ざまあみろ。
そう思ってたとこまではいいんだけど……。
「何、またあんた伊崎君のこと独り占めしてんの?」
部活の練習が終わると市川さん達一年女子に呼ばれてしまった。
「私は何も関係ないよ」
「じゃあ、何であんたは伊崎君と遊んでるのに私たちは無理なのさ?」
そんなの、コウに聞いてよ。
そう思ってもそのまま言えるわけもなく。
「大してテニスも上手くないくせに。伊崎君と仲良くしてるの本当ムカつく」
そう言い残して、市川さんたちは私の元から離れていった。
最後の市川さんの一言がずきりと刺さる。
コウは私なら勝てるって言ってくれた。
あれは部活で一番弱い私を励ますための嘘だったの?
今の私には部活にもクラスにもどこにも居場所がない。
そしてコウもそばにいてくれない。
どうしてこんなことになっちゃたんだろう。
私、どこかで選択を間違えたのかな?
別な世界に私がいるなら、こんなことにはならなかったのかな。
呆然としたまま、しばらくその場から動くことができなかった。


