「おはよう」
次の日の朝、教室に入るといつもよりも声の響きが良い気がした。
「おはよう、真澄」
美優がいつものようにバスケ部の女子たちと一緒に何か楽しそうに話していた。
「真澄も昨日のドラマ見た?」
「ドラマ?」
美優から聞き慣れない言葉が聞こえて思わずぽかんとしてしまう。
「昨日の夜、放送してたやつ。主人公がパラレルワールドを行き来するんだよね」
そのドラマなら何度かテレビのCMで見た。
主人公はどこにでも普通のOLのはずだったのに、ある日運命の人に出会ってからその人を追いかけてパラレルワールドを駆け巡るのだ。
主人公を演じる有名な若手女優がパラレルワールドでさまざまな仕事を演じることでも話題になっていたはずだ。
「昨日はさ、主人公が看護師になってた世界だったんだよね。白衣もすごい似合ってた」
美優も私も小学生の頃はドラマとかにあまり興味がなかった。
おかげでクラスの女子が話すドラマの話題についていけなかったものだ。
そんな美優が今はドラマを見ているなんて。
「パラレルワールドなんか現実じゃありえないけどね」
「そんなこと言わないでよ。ドラマだからそういうのがいいんじゃん」
「そのドラマ、バスケ部の中でもめちゃくちゃ流行っているんだよね」
美優の隣にいる花村さんが口を挟む。
「テニス部にはそういう流行っているものとかないの?」
「うーん、どうだろう。あんまりないんじゃないかな」
美優からの質問に私はしどろもどろになりながら答える。
美優はきっと悪気があって聞いたわけじゃない。
だけど私は美優みたいに部活の人たちとうまく友達関係を築けていない。
「そういうの部活によっても違うんだね」
花村さんが私と美優の話をうまくまとめようとする。
何でかわからないけど、ここにいると少し居心地が悪い感じがする。
「竹口さんってドラマとかあんまり見ないの?」
花村さんからの急なパスに思わず心臓がビクッとした。
花村さんって声にトゲのあるような響きがするんだよね。
「うん。部活の後、疲れてすぐに眠たくなっちゃうんだよね」
「そっか、昨日は竹口さんも練習試合をしてたもんね」
花村さんの一言にドキッとする。
あれ? なんで花村さんがそんなこと知っているの?
その気持ちが私の顔に出たのか花村さんは「昨日の帰り、テニスコートが見えたんだよね」とすぐに付け加えてきた。
「真澄、かっこよかった」
「そうそう、ラケットをパンってね」
花村さんがラケットを振るジェスチャーをして、バスケ部のみんなが笑う。
そのモノマネが少しバカにされているように思うのは私の気のせいだろうか。
「テニスをしている真澄、すごい楽しそうだったよ」
「そうかな。昨日もコウに負けちゃったし」
昨日の試合、結局コウには四対三で負けっちゃったんだ。
でも楽しかったのは本当だ。
試合には負けたけど久しぶりに楽しいテニスができた。
それはコウのおかげ、かな。
明るい日差しが差し込む窓を見る。
部活の時間になるのが待ち遠しく思えてきた。
次の日の朝、教室に入るといつもよりも声の響きが良い気がした。
「おはよう、真澄」
美優がいつものようにバスケ部の女子たちと一緒に何か楽しそうに話していた。
「真澄も昨日のドラマ見た?」
「ドラマ?」
美優から聞き慣れない言葉が聞こえて思わずぽかんとしてしまう。
「昨日の夜、放送してたやつ。主人公がパラレルワールドを行き来するんだよね」
そのドラマなら何度かテレビのCMで見た。
主人公はどこにでも普通のOLのはずだったのに、ある日運命の人に出会ってからその人を追いかけてパラレルワールドを駆け巡るのだ。
主人公を演じる有名な若手女優がパラレルワールドでさまざまな仕事を演じることでも話題になっていたはずだ。
「昨日はさ、主人公が看護師になってた世界だったんだよね。白衣もすごい似合ってた」
美優も私も小学生の頃はドラマとかにあまり興味がなかった。
おかげでクラスの女子が話すドラマの話題についていけなかったものだ。
そんな美優が今はドラマを見ているなんて。
「パラレルワールドなんか現実じゃありえないけどね」
「そんなこと言わないでよ。ドラマだからそういうのがいいんじゃん」
「そのドラマ、バスケ部の中でもめちゃくちゃ流行っているんだよね」
美優の隣にいる花村さんが口を挟む。
「テニス部にはそういう流行っているものとかないの?」
「うーん、どうだろう。あんまりないんじゃないかな」
美優からの質問に私はしどろもどろになりながら答える。
美優はきっと悪気があって聞いたわけじゃない。
だけど私は美優みたいに部活の人たちとうまく友達関係を築けていない。
「そういうの部活によっても違うんだね」
花村さんが私と美優の話をうまくまとめようとする。
何でかわからないけど、ここにいると少し居心地が悪い感じがする。
「竹口さんってドラマとかあんまり見ないの?」
花村さんからの急なパスに思わず心臓がビクッとした。
花村さんって声にトゲのあるような響きがするんだよね。
「うん。部活の後、疲れてすぐに眠たくなっちゃうんだよね」
「そっか、昨日は竹口さんも練習試合をしてたもんね」
花村さんの一言にドキッとする。
あれ? なんで花村さんがそんなこと知っているの?
その気持ちが私の顔に出たのか花村さんは「昨日の帰り、テニスコートが見えたんだよね」とすぐに付け加えてきた。
「真澄、かっこよかった」
「そうそう、ラケットをパンってね」
花村さんがラケットを振るジェスチャーをして、バスケ部のみんなが笑う。
そのモノマネが少しバカにされているように思うのは私の気のせいだろうか。
「テニスをしている真澄、すごい楽しそうだったよ」
「そうかな。昨日もコウに負けちゃったし」
昨日の試合、結局コウには四対三で負けっちゃったんだ。
でも楽しかったのは本当だ。
試合には負けたけど久しぶりに楽しいテニスができた。
それはコウのおかげ、かな。
明るい日差しが差し込む窓を見る。
部活の時間になるのが待ち遠しく思えてきた。


