家に着いて、部屋の灯りをつける。

 胸の奥が、熱くて熱くてたまらなかった。

 ベッドに腰を下ろすと、さっきのキスの感触が頭の中で繰り返される。

 唇に触れた瞬間、小春の体温が伝わってきて――あのとき、世界が止まったみたいだったな、と思い出していた。

「……っ、ほんっと、俺、バカだな」

 小声で呟く声に、誰も答えない。

 でも、どうしてもこの喜びを抑えきれず、ベッドに倒れ込み、手足を伸ばして体をゆさゆさ揺らす。

 心臓が早鐘のように打ち、胸の奥がぎゅっと熱くなった。

 スマホを取り出して、文化祭の写真を見る。
 少し顔を寄せて笑う小春。

「…可愛すぎるだろ」

 ――あの笑顔も、さっきのキスも、すべてが頭の中でぐるぐると回る。
 嬉しくて、嬉しくて、自然と声が漏れる。

「……好きだ……っ」

 言葉にするたび、体中に喜びが駆け巡る。

 ベッドの上でごろんと転がりながら、腕で頭を抱え、思わずニヤニヤしてしまう。
 小春のことを突き放しながらも、ずっと、この日がいつかこればいいのにと願っていた。
 ――やっと両思いになれたんだ。

 でも、さすがに声に出して喜ぶのは恥ずかしくて、枕に顔をうずめる。

 明日も会える。明日、小春はどんな顔をするだろう。
 胸がいっぱいになって、自然と笑みが溢れる。
 俺の世界は、今、小春でいっぱいだった。