反抗期の七瀬くんに溺愛される方法

「……なつくん、バカだね」

「は?」

「私、そんなに弱くないよ?それに、私の友達だって、そんな酷い人じゃない」

「それは…」

「私は、守られるだけなんて嫌だよ。ちゃんとなつくんの隣にいたいよ」

 言葉にした瞬間、顔が真っ赤になる。
 夏樹は驚いたように目を瞬かせ、それから小さく頭をかいた。

「……ほんと、そういうとこ、ずるい」

 ぼそりと呟く声に、胸がまた跳ねた。
 窓の外、夕陽が差し込んで二人の影を長く伸ばしていく。

 少しの沈黙のあと、夏樹がぽつりと口を開いた。

「……守ってやりたいんだよ」
 その声は掠れていて、どこか震えていた。

「小春のこと、守らせてくれよ。小春が傷つくの、見たくねぇんだよ」

 胸の奥がぎゅっと締めつけられる。
 嬉しいのに、苦しくて、涙がこみ上げた。

「なつくんに無視される方が傷つくよ!」
 声が震える。
「なつくんは、私ともうずっと喋れなくてもいいの? 本当に、離れたままでいいの?」

 夏樹の瞳がわずかに揺れた。
 夕陽の光がその横顔を照らして、切なく滲む。