遠くでチャイムが鳴り終わる前、突然、カーテンが大きく開かれた。
「小春!」
それは聞き覚えのある、大好きな声だった。
振り向く間もなく、強く腕を掴まれ、教室の外へ引っ張られる。
その力強さに、思わず息を呑む。
見上げると、夏樹の顔が真剣で、少しだけ焦っているようだった。
私の腕を離さず、しっかりと握った手の感触が、まだ心の奥で温かく残っている秋との余韻とぶつかる。
チャイムの音はまだ教室に響いている。
秋がふと笑い、肩越しに小さな声で言った。
「3人で聞いちゃったね、チャイム。これは、3人が結ばれるってことでいいかな?」
夏樹は小さく顔をしかめ、でもどこか嬉しそうに――
「ふざけんな。そんなの無効だ」
「ほんと嫉妬深いなぁ」
秋はくすくすと笑って、からかうように言う。
「おまっ…そんなんじゃねぇよ」
夏樹は真っ赤になりながら否定する。
「わかったよ。でも、いつまでもぐずぐずしてると、本当にもらっちゃうから。小春、気が変わったら、いつでも僕に言って」
そう言って秋は笑った。
その笑顔に、少し安心しつつも、私の手はしっかりと夏樹に握られている。
夏樹は数本歩いたところで、秋の方へと振り返った。
「心配しなくていい。……誰にも渡す気はねぇよ」
そう言って私の腕を引き、教室を後にした――
「小春!」
それは聞き覚えのある、大好きな声だった。
振り向く間もなく、強く腕を掴まれ、教室の外へ引っ張られる。
その力強さに、思わず息を呑む。
見上げると、夏樹の顔が真剣で、少しだけ焦っているようだった。
私の腕を離さず、しっかりと握った手の感触が、まだ心の奥で温かく残っている秋との余韻とぶつかる。
チャイムの音はまだ教室に響いている。
秋がふと笑い、肩越しに小さな声で言った。
「3人で聞いちゃったね、チャイム。これは、3人が結ばれるってことでいいかな?」
夏樹は小さく顔をしかめ、でもどこか嬉しそうに――
「ふざけんな。そんなの無効だ」
「ほんと嫉妬深いなぁ」
秋はくすくすと笑って、からかうように言う。
「おまっ…そんなんじゃねぇよ」
夏樹は真っ赤になりながら否定する。
「わかったよ。でも、いつまでもぐずぐずしてると、本当にもらっちゃうから。小春、気が変わったら、いつでも僕に言って」
そう言って秋は笑った。
その笑顔に、少し安心しつつも、私の手はしっかりと夏樹に握られている。
夏樹は数本歩いたところで、秋の方へと振り返った。
「心配しなくていい。……誰にも渡す気はねぇよ」
そう言って私の腕を引き、教室を後にした――

