反抗期の七瀬くんに溺愛される方法

 夕日に照らされる校庭を歩く。
 小春がボールを追いかける姿、シュートを決めた時の嬉しそうな笑顔――全部、胸に焼き付いて離れない。

「……小春、今日、すごかったな」
 それは、不意にでた言葉だった。
 必死に練習して、ボールを追いかける姿を、ずっと見てきた。下手くそでも、何度も転びそうになりながらも立ち上がる。

 その努力を、俺は全部知ってる。
 だから、シュートがゴールに吸い込まれる瞬間、胸の奥がぎゅっと熱くなった。

「えっ?」
 振り返るあいつの瞳に、心臓がざわつく。

「ボール追いかけて、小春の方が転がるかと思った」
 からかうように言いながら、手で髪をかき上げる仕草。
 内心ではドキドキしてる。
 小春を前にすると、いつも素直になれない。

「ーーでも、かっこよかったよ。必死でシュート決めたじゃん」
 今日だけは、頑張った小春を褒めてやりたかった。

「あ、ありがとう」
 その声が胸に刺さる。
 恥ずかしさで視線を逸らす小春も、愛おしく思った。

「まぁ、俺が1番かっこよかったけどなぁ」
 からかい混じりに言うけど、指先が少し拳に力を込める。
 内心では――小春の必死な姿を誰よりも誇らしく思っている。
 でも、この気持ちが全部伝わりそうで、誤魔化すしかなかった。

「ーーうん。本当に、誰よりもかっこよかったよ」
 その瞬間、胸の奥が熱くなる。
 風が吹き、あいつの笑顔がふわり揺れるたび、心臓が跳ねた。
 思わず手でリストバンドを握り返していた。

「当たり前だろ」
 小春にだけ見てほしかった。
 小春にだけカッコいいと思って欲しかった。
 俺だってそのために頑張ったんだ。

 夕日に染まる校庭を歩きながら、小春と自分の頑張りを誇らしく思ったーー