「お前、何してんの? 似合わないからその服禁止。絶対それで外出るなよ」
思わずそう言い捨てて、顔をそむけた。
小春の瞳が一瞬、大きく見開かれたのがわかった。
胸の奥がざわついて、落ち着かない。
(……こいつ、本気にしやがって。バカなのか?)
昨日の会話。あいつが勇気を出して聞いてきた「タイプ」の話。
俺はわざと、真逆の答えを言った。
綺麗で、色気がある感じ――そんなの、本心じゃない。
(本当は……)
明るく笑って、くだらないことで頬を膨らませる。
素直すぎて、見てるとこっちまで顔が緩みそうになる。
俺が好きなのは、そんな小春だ。
けど、それを言ったらどうなる?
だから、俺は逆の答えを口にした。
――なのに、なんで。
次の日、こいつは本当に俺の言葉を真に受けて、いつもと違う服なんか着てきやがる。
胸元がちょっと開いた服。
知らない奴に見られることを想像した瞬間、胃の奥がひっくり返りそうになった。
「似合わない」なんて言葉。
嘘だ。
俺の目には、眩しいくらい可愛く見えて、目を逸らさなきゃやばかった。
(……頼むから、俺以外に見せんな)
そんな言葉、飲み込むしかなかった。
ぶっきらぼうに言ってしまった自分を誤魔化すみたいに、ポケットに手を突っ込み、わざと不機嫌そうに鼻を鳴らす。
その顔を、俺だけが見ていたい。
他の誰にも、触れさせたくない。
――バカみたいだと思う。
でも、どうしようもないんだ。
胸の奥がざわつくたびに、誤魔化す。
この気持ちを口にしたら、きっと小春は困るだろう。
だから、黙って、俺だけの胸にしまう――。
思わずそう言い捨てて、顔をそむけた。
小春の瞳が一瞬、大きく見開かれたのがわかった。
胸の奥がざわついて、落ち着かない。
(……こいつ、本気にしやがって。バカなのか?)
昨日の会話。あいつが勇気を出して聞いてきた「タイプ」の話。
俺はわざと、真逆の答えを言った。
綺麗で、色気がある感じ――そんなの、本心じゃない。
(本当は……)
明るく笑って、くだらないことで頬を膨らませる。
素直すぎて、見てるとこっちまで顔が緩みそうになる。
俺が好きなのは、そんな小春だ。
けど、それを言ったらどうなる?
だから、俺は逆の答えを口にした。
――なのに、なんで。
次の日、こいつは本当に俺の言葉を真に受けて、いつもと違う服なんか着てきやがる。
胸元がちょっと開いた服。
知らない奴に見られることを想像した瞬間、胃の奥がひっくり返りそうになった。
「似合わない」なんて言葉。
嘘だ。
俺の目には、眩しいくらい可愛く見えて、目を逸らさなきゃやばかった。
(……頼むから、俺以外に見せんな)
そんな言葉、飲み込むしかなかった。
ぶっきらぼうに言ってしまった自分を誤魔化すみたいに、ポケットに手を突っ込み、わざと不機嫌そうに鼻を鳴らす。
その顔を、俺だけが見ていたい。
他の誰にも、触れさせたくない。
――バカみたいだと思う。
でも、どうしようもないんだ。
胸の奥がざわつくたびに、誤魔化す。
この気持ちを口にしたら、きっと小春は困るだろう。
だから、黙って、俺だけの胸にしまう――。

