「ねぇ、夏樹って、どんな人がタイプなの？」
　小春は勇気を出して聞いてみる。

　夏樹は少し考え込むように眉をひそめてから、ぶっきらぼうに言った。
「うーん、綺麗で、色気がある感じ」

「えっ……うわ、最低！」
　思わず声をあげてしまう。

「なんでだよ」
　夏樹は不思議そうに肩をすくめる。

　小春は少し落ち込みながらも、心の中で決意する。
（……私とは真逆か。でも……）

　その日から、小春は少しでも夏樹に意識してもらおうと、メイクをしてみたり、少し肌の出る服を着てみたりした。

　すると翌日、夏樹はそれを見て眉をひそめ、声を低くした。
「お前、何してんの？　似合わないからその服禁止。　絶対それで外出るなよ」

　それは、期待していた褒め言葉ではなく、ツンとした一言だった。
　小春は思わず目を丸くする。
　胸の奥がぎゅっと熱くなった。

「なんでそんなこと言うの？」
　小春は少し拗ねた声で聞く。