しばらくは、ただ並んで歩く。春の夜の空気、遠くから聞こえる街の音。何も特別なことを言わなくても、二人でいるだけで心が落ち着く。
「小春って、ああいう時すぐ顔に出るんだよな」
ポツリと夏樹が話し始めた。
「え?」
「体育館出てったとき。亜美が何か言ったんだろ」
低い声。けれど、どこか優しさが滲んでいる。
小春は言葉を詰まらせた。
「……別に、なんでもない」
「なんでもねぇ顔じゃなかった」
視線が交わる。
その瞳に、心の奥を見透かされるようで、思わず目をそらした。
「わかるよ、好きな子のことくらい。小春は嫌なことするタイプじゃねーよ」
春の夜風が頬を撫でる中、夏樹は下げていたコンビニの袋から手を伸ばした。
「ほら! この間食べたいって言ってたやつ、出たぞ〜」
袋の中から取り出したのは、春の新商品のお菓子。ピカピカのパッケージが夜の街灯に照らされる。
「え、ほんとに!? 覚えててくれたの?」
小春の目が一気に輝く。
夏樹は軽く肩をすくめ、ちょっと得意げに笑った。
「当たり前だろ、そんなの覚えてるに決まってる」
その瞬間、ふたりの間に柔らかい笑い声がこぼれる。
外の冷たい空気も、ちょっとあたたかく感じられた。
「小春って、ああいう時すぐ顔に出るんだよな」
ポツリと夏樹が話し始めた。
「え?」
「体育館出てったとき。亜美が何か言ったんだろ」
低い声。けれど、どこか優しさが滲んでいる。
小春は言葉を詰まらせた。
「……別に、なんでもない」
「なんでもねぇ顔じゃなかった」
視線が交わる。
その瞳に、心の奥を見透かされるようで、思わず目をそらした。
「わかるよ、好きな子のことくらい。小春は嫌なことするタイプじゃねーよ」
春の夜風が頬を撫でる中、夏樹は下げていたコンビニの袋から手を伸ばした。
「ほら! この間食べたいって言ってたやつ、出たぞ〜」
袋の中から取り出したのは、春の新商品のお菓子。ピカピカのパッケージが夜の街灯に照らされる。
「え、ほんとに!? 覚えててくれたの?」
小春の目が一気に輝く。
夏樹は軽く肩をすくめ、ちょっと得意げに笑った。
「当たり前だろ、そんなの覚えてるに決まってる」
その瞬間、ふたりの間に柔らかい笑い声がこぼれる。
外の冷たい空気も、ちょっとあたたかく感じられた。

