反抗期の七瀬くんに溺愛される方法

「ちょっと外、散歩しようぜ」
 玄関で靴を履きながら、夏樹がふいに言った。

「え、今から?」
「いいだろ、少しだけ」

 小春が迷っていると、リビングからお母さんの声が飛んできた。

「夏樹くん、この子、今日ちょっと拗ねてたから優しくしてやってね〜」

「ちょ、ちょっとお母さん!」
 顔が一気に熱くなる。

 夏樹は、口の端を少しだけ上げて小さく笑った。
「……だってさ」
「な、なにそれ」
「ま、拗ねてんなら、機嫌なおるまで付き合ってやるよ」

 そう言って、玄関のドアを開ける彼の背中に、胸がじんわりあたたかくなる。