館内を一通り見て、最後に立ち寄ったのは小さな売店だった。
棚には、海の生き物をかたどったぬいぐるみや、キーホルダーがずらりと並んでいる。
「これ、かわいい」
小春が手に取ったのは、イルカの形をしたキーホルダー。
つるんとした感触が指先に伝わる。
光に当たるたび、海みたいに淡いブルーがきらきらと揺れた。
「おまえ、そういうの好きそう」
隣で夏樹が笑う。
「なつくんは? どれがいいの?」
「俺? ……別に」
「もう、そういうのつまんないってば」
小春が頬をふくらませると、夏樹は少しだけ考えるようにして――同じイルカのキーホルダーを手に取った。
「……じゃあ、これ」
「え、それおそろいだよ?」
「知ってる」
さらりとそう言ってレジへ向かう夏樹。
小春は一瞬、息が止まったように感じた。
顔が熱くて、なんでもないふりをするのに精一杯だった。
会計を済ませた夏樹が戻ってきて、無言で小春にひとつ差し出した。
「ほら」
「ありがと……」
小春が受け取ると、2つのイルカが並んで尾びれをくっつけたように見えた。
「おそろいだね」
「そうだな」
その短い返事の奥に、少しだけ照れくさそうな笑みがあった。
出口へ向かう2人の手のあいだで、イルカのチャームが光を受けて小さく揺れた。
棚には、海の生き物をかたどったぬいぐるみや、キーホルダーがずらりと並んでいる。
「これ、かわいい」
小春が手に取ったのは、イルカの形をしたキーホルダー。
つるんとした感触が指先に伝わる。
光に当たるたび、海みたいに淡いブルーがきらきらと揺れた。
「おまえ、そういうの好きそう」
隣で夏樹が笑う。
「なつくんは? どれがいいの?」
「俺? ……別に」
「もう、そういうのつまんないってば」
小春が頬をふくらませると、夏樹は少しだけ考えるようにして――同じイルカのキーホルダーを手に取った。
「……じゃあ、これ」
「え、それおそろいだよ?」
「知ってる」
さらりとそう言ってレジへ向かう夏樹。
小春は一瞬、息が止まったように感じた。
顔が熱くて、なんでもないふりをするのに精一杯だった。
会計を済ませた夏樹が戻ってきて、無言で小春にひとつ差し出した。
「ほら」
「ありがと……」
小春が受け取ると、2つのイルカが並んで尾びれをくっつけたように見えた。
「おそろいだね」
「そうだな」
その短い返事の奥に、少しだけ照れくさそうな笑みがあった。
出口へ向かう2人の手のあいだで、イルカのチャームが光を受けて小さく揺れた。

