改札を抜けて、電車に揺られること三十分。
車窓から見える街並みが少しずつ変わっていく。
隣の席では、夏樹が窓の外をぼんやり眺めていた。
その横顔を見ているだけで、なんだか胸がきゅっとなる。
(なんか、デートって感じ……)
手すりの上で指先がかすかに触れるたび、ドキッと心臓が跳ねる。
でも、夏樹は何も言わない。
少し眠たげに目を細めて、頬杖をついているだけ。
――その沈黙すら、今は心地よかった。
水族館の入り口に着くと、潮の香りと冷たい風が頬を撫でた。
チケットを差し出そうとした瞬間、夏樹が先に受付へ出してしまう。
「えっ、私の分……!」
「いーよ。今日は、俺が出す」
「そ、そんな、悪いよ!」
「いいから」
ぶっきらぼうなのに、耳の先が少し赤い。
それを見た瞬間、小春の胸の奥がくすぐったくなった。
中に入ると、青い光がふわりと二人を包み込む。
大きな水槽の前で、ゆらゆらと泳ぐ魚たちが、まるで時間をゆっくりにしているみたい。
「……きれい」
小春がつぶやくと、夏樹が少し横を向いたまま「だな」と答える。
その横顔も、ガラス越しの青い光に照らされて、どこか幻想的に見えた。
クラゲのコーナーでは、透明な傘がゆっくりと舞うように漂っていた。
「ねぇ、なつくん。あれ、なんか踊ってるみたい」
「お前のほうが楽しそうだけどな」
「え、そうかな?」
「……顔、にやけてる」
「う、うるさい!」
そう言って頬を膨らませると、夏樹がくすっと笑った。
車窓から見える街並みが少しずつ変わっていく。
隣の席では、夏樹が窓の外をぼんやり眺めていた。
その横顔を見ているだけで、なんだか胸がきゅっとなる。
(なんか、デートって感じ……)
手すりの上で指先がかすかに触れるたび、ドキッと心臓が跳ねる。
でも、夏樹は何も言わない。
少し眠たげに目を細めて、頬杖をついているだけ。
――その沈黙すら、今は心地よかった。
水族館の入り口に着くと、潮の香りと冷たい風が頬を撫でた。
チケットを差し出そうとした瞬間、夏樹が先に受付へ出してしまう。
「えっ、私の分……!」
「いーよ。今日は、俺が出す」
「そ、そんな、悪いよ!」
「いいから」
ぶっきらぼうなのに、耳の先が少し赤い。
それを見た瞬間、小春の胸の奥がくすぐったくなった。
中に入ると、青い光がふわりと二人を包み込む。
大きな水槽の前で、ゆらゆらと泳ぐ魚たちが、まるで時間をゆっくりにしているみたい。
「……きれい」
小春がつぶやくと、夏樹が少し横を向いたまま「だな」と答える。
その横顔も、ガラス越しの青い光に照らされて、どこか幻想的に見えた。
クラゲのコーナーでは、透明な傘がゆっくりと舞うように漂っていた。
「ねぇ、なつくん。あれ、なんか踊ってるみたい」
「お前のほうが楽しそうだけどな」
「え、そうかな?」
「……顔、にやけてる」
「う、うるさい!」
そう言って頬を膨らませると、夏樹がくすっと笑った。

