黒ねこを追いかけて、ミアは森の中にまよいこんでしまいました。
けれど、黒ねこのすがたはみあたりません。
「どうしよう。はっぴょうかいはもう明日なのに……」
チュチュがなくては、ぶたいに立てません。
ミアはかなしくなって、じわりとなみだがうかんできます。
とぼとぼとあるいていくと、一軒の赤いやねのおうちがありました。
大きなかんばんに、なにか書いてあるみたいです。
・ー☆ー・ー☆ー・ー☆ー・
【もんだい】
なんとかいてあるのかな?
『たセシリたアのおみたせ』
その下には、かわいい〝たぬき〟の絵がかいてあります。
・ー☆ー・ー☆ー・ー☆ー・
「うーんと、たぬき? あっ! 『た』を抜くってことね。ということは『セシリアのおみせ』?」
どうやら、ここはおうちではなく、おみせのようです。
「ここで、黒ねこを見なかったか聞いてみよう」
いったい、なにを売っているおみせでしょう?
ミアは、ドキドキしながらとびらをあけました。
中には、たくさんのふわふわなドレスや、キラキラかがやくアクセサリーが、たくさんならべられています。
「わぁ! すてき!」
けれど、おみせの人がみあたりません。
「こんにちは。だれかいますか?」
ミアが大きなこえでたずねると、おくから「はぁーいっ」と、こえがきこえてきます。
「いらっしゃいませ!」
あらわれたのは、とってもかわいい女の子。
フリルとリボンがたくさんついたピンク色のワンピースをきて、ミルクティー色のかみの毛を、大きなリボンでツインテールにしています。
「わたしはセシリア。ようこそ、まほうの仕立て屋へ」
「まほうの、仕立て屋? あっ! それ……」
ミアはセシリアのもっている〝あるもの〟にきがつきました。
「それ、わたしのチュチュ!」
「さっき、お店のうらでひろったの。これは、あなたの?」
「うん。わたしはミア。明日のはっぴょうかいのために買ったばかりなのに、黒ねこさんにとられてしまったの」
セシリアがひろげたミアのチュチュは、ねこのつめでひっかかれたのか、ビリビリになってしまっています。
「やぶれちゃってる……」
とても着られるじょうたいではありません。
かなしむミアに、セシリアはいいました。
「だいじょうぶ! わたしにまかせて!」


