黒ねこを追いかけて、ミアは森の中にまよいこんでしまいました。

けれど、黒ねこのすがたはみあたりません。

「どうしよう。はっぴょうかいはもう明日なのに……」

チュチュがなくては、ぶたいに立てません。

ミアはかなしくなって、じわりとなみだがうかんできます。

とぼとぼとあるいていくと、一軒の赤いやねのおうちがありました。

大きなかんばんに、なにか書いてあるみたいです。


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【もんだい】
なんとかいてあるのかな?

『たセシリたアのおみたせ』

その下には、かわいい〝たぬき〟の絵がかいてあります。

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「うーんと、たぬき? あっ! 『た』を抜くってことね。ということは『セシリアのおみせ』?」

どうやら、ここはおうちではなく、おみせのようです。

「ここで、黒ねこを見なかったか聞いてみよう」

いったい、なにを売っているおみせでしょう?

ミアは、ドキドキしながらとびらをあけました。

中には、たくさんのふわふわなドレスや、キラキラかがやくアクセサリーが、たくさんならべられています。

「わぁ! すてき!」

けれど、おみせの人がみあたりません。

「こんにちは。だれかいますか?」

ミアが大きなこえでたずねると、おくから「はぁーいっ」と、こえがきこえてきます。

「いらっしゃいませ!」

あらわれたのは、とってもかわいい女の子。

フリルとリボンがたくさんついたピンク色のワンピースをきて、ミルクティー色のかみの毛を、大きなリボンでツインテールにしています。

「わたしはセシリア。ようこそ、まほうの仕立て屋へ」
「まほうの、仕立て屋? あっ! それ……」

ミアはセシリアのもっている〝あるもの〟にきがつきました。

「それ、わたしのチュチュ!」
「さっき、お店のうらでひろったの。これは、あなたの?」
「うん。わたしはミア。明日のはっぴょうかいのために買ったばかりなのに、黒ねこさんにとられてしまったの」

セシリアがひろげたミアのチュチュは、ねこのつめでひっかかれたのか、ビリビリになってしまっています。

「やぶれちゃってる……」

とても着られるじょうたいではありません。

かなしむミアに、セシリアはいいました。

「だいじょうぶ! わたしにまかせて!」