秋人くんがこわい



ついさっきまで雨なんて降っていなかったのに、窓から見える景色は薄暗く大粒の雨が降っていた。



確かにこの雨の中探すのはいけない。そのことがさすがに悲しくて、いつもよりズーンと落ち込む。

しょうがない、今日はトイレとか別の場所を探してみよう。




「ごめんね、ぶつかって。他のとこ探してみる」





そのまま、秋人くんが歩いていくのを見送った。


あっという間に静まり返った校舎の中をひとりでリップを探しながら考えてみる。



どうやったら秋人くん離れができるだろう。



秋人くんなんてすごいモテるのに、いつもあの時の約束を守って近くにいてくれる。

それはいいことだけど、さすがに距離が近すぎると思わなくもない。今まで女の子の友達が少ないから距離感がわかってないのかな。



その時、ポケットの携帯が振動する。秋人くんからだった。


『リップあったよ』

なんてメッセージと濡れたリップの写真付きで。



ヒュ、と嫌に喉がなった。
待ってよ。もしかして秋人くん雨の中探したの。わたしのことは止めたくせに自分は濡れながら。