マイクとマウンド、夢の向こうへ

翌日、放課後のグラウンド。

 部員たちは自主練習に励む中、深明はノートを片手に打球の飛距離や角度をメモしていた。

「なるほど、この打者は外角低めの球に強いのか…」

 数字に向き合いながら、条件ごとの傾向を見つけ出す。

 小さな発見に、思わず唇が緩む。

ベンチに座るヨッシーが、軽く笑って声をかける。

 「また、データとにらめっこしてるのか」

 「うん。
 ちょっと面白いこと、見つけたんだ」

 深明はノートを覗かせる。

 外角低めの球で空振りさせる投球パターンを表にして示すと、ヨッシーの目が輝いた。

 「それ、次の練習試合で試せる。
 さっそくやってみる」

夕方、帰宅後のリビングでも深明はノートを開く。

 テレビで流れるMLBの試合を、選手ごとの打率や球種に照らしてメモを取る。

 数字を整理しているだけなのに、試合の流れが手に取るように理解できる。

 「ここでこう投げれば、空振りが取れるかも……」

 小さな仮説を立てる。

すると、翌日にグラウンドでそれを試す楽しみが生まれる。

夜、寝る前に深明はノートを閉じた。

 ベッドに寝転がると、ぼんやりと天井を見つめた。

 「数字って、こんなにワクワクするんだ……」

 まだ仕事内容の全てを把握したわけではない。

 それでも、数字を読み解く楽しさと、チームに貢献できる手応えを実感していた。

 夢への一歩は、確かに踏み出されていた。