マイクとマウンド、夢の向こうへ

翌日。

 放課後のグラウンド。

 部員たちの声が遠ざかり、空には淡い夕焼けが広がっていた。

 深明は、バッグから丁寧にまとめたレポートを取り出す。
 
 それは、技術部が復旧してくれた一枚をもとに、彼女が再構成したものだった。

「……これ、渡したかったの。

 あの試合のフォーム、少しだけズレてた。

 でも、直せるって思ったから」

 ヨッシーは、紙を受け取り、目を通す。

 そこには、リリース位置のズレ、踏み出しの乱れ、配球の偏り——

 すべてが、具体的な数値と改善策で記されていた。

「……これ、深明が書いたの?」

 「うん。

 タブレット壊れちゃったけど、復旧してもらって。  それ見ながら、もう一度書いた。

  ……夜中までかかったけど」

 ヨッシーは、紙を見つめたまま、静かに言う。


 「……俺、深明のこと、ちゃんと見てなかった。

  “支えてくれてる”って思ってたけど——

 それがどれだけの重さだったか、分かってなかった」

 深明は、少しだけ笑う。

「私も、勝手に背負ってた。

 でも、ヨッシーが来てくれて、助けてくれて……

 あのとき、ほんとに嬉しかった」

 ヨッシーは、そっと彼女の頭を撫でる。