マイクとマウンド、夢の向こうへ

事件当日から数日間、深明は保健室で静養していた。

打撲、捻挫、擦過傷——

 身体の痛みはもちろん、心の疲労も深かった。

保健室のベッドで、彼女は静かに横になっていた。

 誰かのために動くことをやめた時間。

それは、彼女にとって初めての“休息”だった。

 巽先生が、宝月家の技術部が復旧した一枚のレポートを手渡す。

「ヨッシーのフォームについての分析だ。

 お前が、渡すつもりだったんだろ?

 アイツに」

 深明は、震える手でその紙を受け取る。

 それは、彼女が“支える人”として残した、最後の記録だった。

保健室での静養中、深明はまだ本調子ではなかった。

 でも、麗菜の許可を得て、昼休みに放送室の機材を使うことだけは許された。