マイクとマウンド、夢の向こうへ

直斗が大変そうなため、生徒会の書記も、手伝うこととなった。

そんな慌ただしい中でも、深明の忙しさを気遣う大人はいた。

 国語担当で担任の福山(ふくやま)先生。

 40代前半の男性。

 口数は少ないが、生徒をよく見ているタイプだった。

「秋山。

 放送部、生徒会、野球部マネージャー……
 全部やるのか」

 「はい。

 大丈夫です」

 「そうか。

 だが、時々“助けて”って言ってもいいんだぞ」

 静かな声。

 ぎゅっと、胸の奥を掴まれる感じがした。

「無理をすると、倒れるぞ。

 自分の身体は、1つしかないんだからな」

 「……はい」

 その言葉は、のちに起こる出来事の予兆でもあった。

春の学園は、静かに、確かに動き始めていた。

再会、出会い、はじまり。

秋山深明の高校生活は、まだ序章にすぎなかった。