マイクとマウンド、夢の向こうへ

深月が、静かに続ける。

 「あなたたちは、“便利屋”と呼びました。

  “いなくても困らない”と、言いました。

 でも、この一枚がなければ、誰かのフォームは崩れたままだった。

 誰かの試合は、負けたかもしれない。

 誰かの進路は、変わっていたかもしれない」

 主犯格の生徒が、紙を見つめたまま、唇を噛む。

 「……そんなつもりじゃ……」

 
道明は、遮らずに言う。

 
「“そんなつもりじゃなかった”という言葉は、
 傷ついた人には届きません。

 届くのは、“何を見落としていたか”という気づきです」

 深月が、ホワイトボードに一言だけ書く。

 「支える人は、誰に支えられるのか」

 その問いに、誰も答えられなかった。

でも、誰も否定もしなかった。

 それは、罰ではなかった。

それは、責任の重さに気づくための沈黙だった。

 そして、深明の“支える力”が、
今度は“支えられる価値”として、静かに認識され始めた。