マイクとマウンド、夢の向こうへ

倉庫の扉の外では、巽先生と麗菜が待っていた。

 麗菜は、自分の鞄とは違うリュックを持ち、体操着の入った袋も一緒に持っていた。

 巽先生は、無言で倉庫の中に入り、割れたタブレットの破片を拾い上げる。

 「……これは、もう“いじめ”じゃない。
 暴行だ」

 
麗菜は、深明の姿を見て、言葉を失った。

ヨッシーの腕の中で眠るように揺れる深明の髪。

それが少しだけ安心を取り戻しているように見えた。

 ヨッシーは、深明を抱きかかえたまま歩き出す。

その背中に、春の風が静かに吹いていた。

 
倉庫の扉が、静かに閉じられた。

その音が、校内の空気を変える始まりだった。
 
ヨッシーに抱えられた深明が保健室に運び込まれると、
保健の先生はすぐに動き出した。

 「ベッドに寝かせて。

 すぐ処置するわ」

ヨッシーは、深明をそっとベッドに寝かせる。

 その動きは、どこまでも静かで、どこまでも丁寧だった。

 保健の先生が、カーテンを引き、ベッド周りを覆う。

 水を吸って重くなった制服は脱がされ、体操着に着替えさせられる。