マイクとマウンド、夢の向こうへ

ヨッシーは、何も言わずに走り出す。

 制服の裾が風に揺れ、靴音が校舎の壁に反響する。

 
麗菜は、その背中を見送ったあと、スマホを握りしめたまま呟いた。

 「お願い、間に合って」

 
ヨッシーは、フェンス沿いの細道を駆け抜ける。

 旧用具庫の脇を抜け、体育館の裏通路へ。

 細い上に道が入り組んでいて、迷いそうになった。

 息が切れそうになるたび、深明の笑顔が脳裏に浮かぶ。

「深明に何かあったら、許さねぇ」

 裏通路の扉に、マスターキーを差し込む。

 金属の音が、静かに響く。

 扉が、開いた。

 
湿気をまとった重たい空気が、ふわりと流れ出す。

 中は薄暗く、静まり返っていた。

その奥に、深明の姿があった。