マイクとマウンド、夢の向こうへ

春の風がまだ少し肌寒かったが、握られた手のひらはあたたかかった。

 その夜、深明の両親がアメリカへの学会参加で不在となり、家は一晩空くことになった。


「ねぇ、ヨッシー……

うち、今日は両親がテキサスに学会に行っててね。

帰ってこないんだけど……
泊まってく?」

帰り道、深明が小さく言う。

ヨッシーは少し驚いたように目を見開いた。

 けれど、すぐに柔らかく頷く。

「……行く」

 家に着くと、深明はキッチンに立った。

「夜ご飯、パスタで手抜き。
 
材料、買ってなくて。
 
……ごめんね」

「別に謝ることないって。
 
こういうの、何か一緒に生活してるみたいで、嬉しい。

 それに、さ。

 深明、いい奥さんになれそう」

「もうっ!
 あんまり甘やかさないでよ……
 
照れるじゃん、ヨッシーのバカ」

「なに?
ホントのこと言っちゃ、ダメだった?」