マイクとマウンド、夢の向こうへ

「それから、日直。

 1週間、関与した全員に割り当てる。

 机の整備、教卓の掃除、備品の運搬、映像セッティング、全部やれ。

 教師の目の前で、黙って働け。

 社会に出たら、誰かの信頼を失うってこういうことだ」

その言葉に、誰も反論できなかった。

「……罰は軽い。

 本当は、もっと重くしたいくらいだ。

 でも、俺はお前らが“人として”変わることを信じたい」

巽先生は、そう言って部室を出ていった。

その背中には、教師としての厳しさではなく、父親としての怒りと願いが滲んでいた。

その夜。

 深明は、ヨッシーの表情の硬さに気づいていた。

 いつもなら、練習後の疲れと達成感が混ざった笑顔を見せる。

 今夜は違った。

「……何かあった?」

ヨッシーは、少しだけ迷ってから、ポケットから小さなICレコーダーを取り出した。

 その手つきは、どこか慎重で、どこか痛々しかった。

「……俺が聞いた。

 でも、深明がどうするかは、深明が決めていい。

 ……聞かなくてもいい。
 正直、聞かないほうがいい内容だ。

 俺は、もう怒ったし、罰も決めた。

 でも、隠すのは違うと思った」