マイクとマウンド、夢の向こうへ

ミーティングから、一週間後。

 春の風がまだ冷たさを残す中、野球部員たちは宮城県の山間にある最新型トレーニング施設に到着した。

山の空気はひんやりとしていた。

施設の無機質な壁が、日常とは違う時間の流れを感じさせた。

 到着した野球部員たちは、天井の高い練習場に足を踏み入れた。

その瞬間、その規模と設備に息をのんだ。

中央にそびえるのは、最新のピッチング解析マシン。

 投球フォームを360度のカメラで捉え、わずかな体重移動や指先の回転まで数値化するという代物だ。

 隣にはバッティング解析用の打席が。

 ピッチャーマシンから放たれる球は、速度や回転、コースまで実戦さながらに再現される。

「これ……ゲームの世界じゃないよな」

 ヨッシーの声は、心なしか震えていた。


 まずは投球分析。

 ヨッシーがマウンドに立ち、一球投げる。

 瞬時に回転数・リリースポイント・球速がモニターに表示された。

 深明はタブレットに表示されたデータを指でスクロールしながら、数値の揺れを確認する。

 その目は冷静だった。

 深明の胸の奥ではヨッシーの成長が静かに誇らしさを灯していた。
 

「ヨッシー、球離れがコンマ数秒遅れてる。

 原因は指の抜け方。

 あと、下半身の重心移動が遅い」

 「……マジか。

 そこまで分かるの、すげぇな」

 「次は前に体重を乗せるのを意識してみて。

 データがどう変わるか確認しよう」