マイクとマウンド、夢の向こうへ

それから数日後の、とある週末。

 深明はヨッシーの家に泊まりに来ていた。

冬の寒さのなか、温かい味噌汁の香りと、ストーブの優しい音に包まれている。

 ヨッシーの母、由佳(ゆか)が、キッチン越しに優しく微笑みながら、ふたりに言った。

 「芳尚はね、小さい頃から“野球でアメリカに行く”って言ってたのよ。

 本気で夢に向かってくれて、すごく嬉しいの。

 ……深明ちゃん、うちの子を、どうかよろしくお願いしますね」

 言葉の重さに、深明の心が震えた。

「わたしで、いいんですかね……」

「こんなことを言えるのは、深明ちゃんしかいないわ」

 一緒に食卓を囲んで、笑顔が溢れる。

 「恋人」から「家族」に繋がっていく予感を思わせる、1日だった。

 ヨッシーは、深明の隣で静かに湯呑を手にしていた。

 「親が勝手なこと言って、ごめんな……

 でも、俺も、そう思ってる。

 いつか、ちゃんと。

 深明と家族になりたい」