マイクとマウンド、夢の向こうへ

直斗は、マグカップを口元に運びながら、彼女の言葉を静かに待っていた。

「……だから、今夜はちゃんと伝えたいと思って。

 私、先輩のことが好きです。

 ずっと、少しずつ気づいてきた気持ちだけど、今はもう、はっきりしてます。

 先輩が大学に行って離れても、私は隣にいたいって思ってます。

  ……この気持ち、受け取ってもらえますか?」

言葉を言い終えたあと、麗菜はマグカップをそっとテーブルに置いた。

 指先が少しだけ震えていた。

直斗は、何も言わずに彼女の隣に座った。

 そして、そっと彼女の手に触れる。

「……ありがとう。

 その言葉、ずっと待ってた。

 俺も、麗菜ちゃんのことが好きだよ。

 これから先も、ずっと隣にいてほしい」

麗菜は、そっと目を閉じた。

 胸の奥にあったざわめきが、静かに溶けていく。

ホットミルクの香りが、ふたりの間に優しく漂っていた。
 

夜が更けても、誰もその場所から離れようとしなかった。

 冬の別荘は、どこか魔法がかかったみたいに、静かであたたかい。

深明とヨッシーは、ときおり唇を重ねながら夜空の星に祈っていた。

 皆が、夢を叶えられますように。

 麗菜と直斗は、リビングに戻っていた。

 ホットミルクを片手に持ち、肩を寄せ合ってストーブの揺れる火を見つめていた。

 
新しい年の幕開けとともに、それぞれの恋が、ようやく形になった。

 ――この温もりを、守っていけるように。

 そう願いながら、4人は静かに目を閉じた。