マイクとマウンド、夢の向こうへ

「……深明。

クリスマスの夜、一緒に過ごしたろ?
あれから俺、どんどん欲張りになってて。

 もう一回、タイミング見て、深明とキス以上のこと……したい。

 ダメ?」

「ダメ、じゃない。

 私も、タイミング見て、またヨッシーに愛されたい。

 その気持ちは、ちゃんとある。

 でもね、少し、怖いの。

 万が一、があったら、夢が壊れちゃう気がするから。

 ヨッシーの夢、壊したくない」

「心配すんな。
 
その万が一、がないようにちゃんとするよ。

 当たり前だろ?
 深明のこと、ちゃんと大切にしたい」

「ありがと、ヨッシー」
 
数秒、視線が絡み合うと、唇がどちらからともなく重なった。
 
 
同じ頃。

 薪ストーブの火が静かに揺れていた。
別荘の寝室。

 窓の外には、雪が音もなく降り続けている。

 麗菜は、ベッドの脇に置いたショルダーバッグをそっと開けた。

キーケースのポケットから、小さく折りたたまれた紙を取り出す。

 それは、元旦の神社で引いたおみくじ。

『大吉』——
その下には、こう書かれていた。

『心を開けば、距離は自然と縮まる
 言葉にする勇気が、未来を変える』

指先でその文字をなぞりながら、麗菜は小さく息を吐いた。

——言葉にする勇気。

 それが、今の私に足りないもの。

でも、今夜なら。
この空気の中なら。

 伝えられるかもしれない。