マイクとマウンド、夢の向こうへ

 「ねぇ!

 よかったら、うちの別荘に来ない?
 
温泉はないけど、ジャクジー付きのお風呂ならあるよ!」

初詣の帰り、麗菜がふと口にしたその提案。

 異を唱えるものはいなかった。

 別荘までは、麗菜の執事の八木さんの送迎だった。

宝月家の山間にある別荘。

薪ストーブの温もりと、窓の外に広がる雪景色。

「うわぁ、日本じゃないみたい……」


 麗菜の案内で着替えを終えた4人。

 夕食後にストーブの前でホットココアを飲みながら団欒を過ごす。

 柔らかな光に照らされた空間に、時間が溶けていくようだった。

 その夜。

深明とヨッシーは、別荘の離れにあるテラスから、星を眺めていた。

 深明は、麗菜が貸してくれた、マイクロファイバー素材の、ライトグリーンのワンピースを着ていた。

 その肩から、チェック柄の毛布がふわりと掛けられた。

 掛けてくれたのは、ヨッシーだった。

「……これで少しは、寒くないだろ」

「ありがと。

 ヨッシーとこうしてると、寒いのに心の奥がほわほわするんだ。

 これが幸せ、ってやつかな」

誰にも邪魔されない、ふたりきりの空間。

 ヨッシーが、静寂を破るように口を開く。