マイクとマウンド、夢の向こうへ

4人並んで、本殿に手を合わせる。

深明の願いは決まっていた。

 ――今年も、皆がそれぞれ楽しく過ごせますように。

隣のヨッシーは、ちらりと深明の横顔を見ながら、心の中で呟く。

 ――また倒れんなよ。

 無理して笑うな。

麗菜は願いごとを言葉にしなかった。

ただ、今は隣にいる先輩のそばに少しでも長くいられますように――

 そんな静かな熱を、胸の奥にしまった。

 
「中吉か……

 まあ、無難だな」

直斗がつぶやく横で、麗菜はそっと自分のおみくじを見つめていた。

 おみくじには、『大吉』と書かれていた。

 「いいな。
 羨ましい」

 冗談めかして笑った松倉先輩。

 麗菜は、おみくじをそっとキーケースのポケットに入れた。

  「私は……“周りを信じて、休むときは休め”だって。

 見られてたのかな。

 文化祭準備の日、倒れたの」

深明がそう言うと、ヨッシーは、深明の背中を、軽く叩いた。

「当然。

 お前が突っ走るの、誰より知ってんだから」

「……じゃあ、ヨッシーが見守っててくれる?」

「……あぁ。
 当たり前だろ。

 深明のブレーキ役は俺にしか出来ないからな」

その言葉を聞いた深明の胸に、ふわりと灯りがともった。