マイクとマウンド、夢の向こうへ

 元旦の朝。

 深明とヨッシー。
 麗菜と直斗。

 4人は、地元の神社を訪れていた。

「なんだか、年が明けた実感、ないね」

 雪がうっすらと境内を染める中、深明は白いマフラーをきつく結び直しながら、そう呟いた。

 風で、ディープグリーンのロングスカートの裾が、ふんわりと揺れた。

 昨夜の雪は止んだものの、路面はシャーベット上になっている。

「そうだな。

今年も、去年に負けないような楽しい年にしたいな。

 ……深明。
足元、まだ滑るから気をつけろよ」

隣を歩くヨッシーが自然に彼女の手を引いた。

 温かい指の感触を、手のひらで包む。

「ヨッシーの手、あったかい。
ずっと、こうしてたいかも」

「さらっとそういう、可愛いこと言うな。
 俺の理性、無くす気?」

少し前を歩くのは、麗菜と松倉 直斗。

 並んで歩いてはいるものの、ふたりの間には、わずかにぎこちない空気が漂っていた。

 麗菜は、オレンジのフェザーヤーンニットに、ブラウンのプリーツスカート。

 ベージュのショルダーバッグ。

  足元の黒いスニーカーが、溶けた雪でうっすら濡れていた。

「寒くないですか、先輩」

「いや、俺は平気。

 ……麗菜は?」

「大丈夫です。

 こうして一緒に過ごせて、嬉しいです」

直斗は一瞬だけ立ち止まり、小さく頷いた。