マイクとマウンド、夢の向こうへ

駅に着くと、何度か見たことのあるリムジンから、麗菜の執事の八木(やぎ)さんが顔を出した。

「麗菜お嬢様から、ここだとうかがいました。
 
宝月の別荘にて、素敵な聖夜をお過ごしください。

 斎藤さまのご両親より届きましたオードブル盛り合わせもご用意しておりますので」

「ウチのオードブル、店で出せるレベルの美味さなんだぜ。

「両親は今頃、宝月が選んで予約してくれたホテルディナーを楽しんでるだろうな。

 クリスマスは結婚記念日なんだ。

 2人きりで祝わせてやりたいじゃん」

「うわ、
 珍しくヨッシーが親孝行してる!」

「おい、俺が親孝行しちゃ悪いか?

 俺は、深明と2人で過ごしたかっただけ。
 深明は、嫌?」

「嫌なわけないじゃん。
クリスマスだもん、ちゃんとヨッシーと恋人らしいことしたい……」

別荘に着くと、暖炉の火が静かに揺れていた。