マイクとマウンド、夢の向こうへ

入学式が行われる体育館に着く。

冷たい風に身体を震わせた。

入学式では、放送部の先輩が全体の進行を担当していた。

「えー、新入生の皆さん、改めましてご入学おめでとうございます。

 まずは、理事長からの挨拶です」

 ステージ横に立つ男子生徒の声が、体育館に響く。

 名前は松倉 直斗(まつくら なおと)

 端正な顔立ちに落ち着いた声、そして制服がやけに似合っていた。

「誰あれ、司会進行のプロ?」

 「放送部の部長で、生徒会長らしいよ!
 すごいよねー」

「えっ、そうなの?」

襟足で切り揃えた黒髪にフレームのない眼鏡がよく似合う、男の人だった。

 その人は、麗菜の方に一瞬、顔を向けると、優しく微笑んだ。