マイクとマウンド、夢の向こうへ

その腕を、軽く掴んだ。

「ねぇ。

もう少し話し相手になってよ。

 今、教室戻っても、輪に入りづらくて。

野球部の文化祭準備だけしてればいい人間が、何で今更手伝うんだ、
って思われると、気分悪いじゃない?

そんな雰囲気の教室に居たくないのよ」
 
 ヨッシーは、深明の腕にそっと手を添えた。

 指先が触れた瞬間、異常な熱が肌を通して伝わってくる。

 眉間に深く皺を寄せながら、彼は低く息を吐いた。

「お前……!

 熱あるだろ……!」

 彼女は「大丈夫」と言いたかった。

 その一言さえ、声にならなかった。
次の瞬間、深明の身体は、ヨッシーの胸元に崩れるように倒れ込んだ。

 彼の両腕が、反射的に彼女を受け止める。

「……バカ。
 なんで、こんなになるまで我慢してんだよ……」

ヨッシーの声は、怒りとも悲しみともつかない、揺れた響きを帯びていた。