ヨッシーは、ボールを握ったまま、ぽつりと呟いた。

「……昔みたいに、俺だけ見ててくれよ。
 
俺のフォームだけを、やたら厳しく、細かく見てくれたじゃん。
 俺だけの専属コーチで、いてくれよ。
 
……なぁ、深明」

その声は、わがままでも、嫉妬でもなかった。

ただ、彼女に向けた、真っ直ぐな「好き」の延長線上にある叫びだった。

——気づいてしまった。

自分は、深明のことが好きなんだ。

湿った夏の風が、その言葉をあっけなくさらっていった。
でも、胸の奥に残った熱だけは、消えなかった。