マイクとマウンド、夢の向こうへ

ヨッシーは、ブルペンの壁にもたれながら、静かに目を閉じた。

——俺だけの深明じゃなくなってる。

 ふいに、記憶が胸の奥から立ち上がる。

それは、少年野球の練習が終わったある夏の午後。

グラウンドの隅にある水道の前で、ふたりは並んで水を飲んでいた。

「ヨッシー、今日の試合、すごく良かったね」

深明がそう言って、タオルで彼の額の汗をぬぐってくれ
た。

「……でも、最後の回、俺、ちょっとコントロール乱れた」

「うん。

でもね、ヨッシーが投げると、みんな安心して守れるの。
 
私も、見ててすごく楽しい。

 ……たぶん、ヨッシーって、試合の流れを全部背負っちゃうタイプなんだと思う。
 
点差とか、味方のミスとか、無意識に自分の責任みたい
に感じちゃうでしょ?

 だから、終盤になるほど、気持ちが張りつめすぎて、腕が硬くなるの。
 
それって、すごく真面目で、優しい証拠なんだけど……
 
もうちょっと、自分を信じていいと思うよ」

その言葉が、妙に胸に残った。

誰かに褒められるのとは違う、もっと深いところに届く感じ。

自分の投球だけじゃなく、心の動きまで見透かされているようで、少しだけ照れくさかった。