マイクとマウンド、夢の向こうへ

「おーい!
 深明!」

明るい声に振り返ると、そこには宝月 麗菜(ほうづき れいな)の姿があった。

 気品ある立ち姿、しなやかな身のこなし。

 光が当たると明るくなる、ハーフアップにまとめた茶髪。

 おろしている部分は、綺麗に内側を向いて巻かれている。

 大きな二重の目も、昔のままだ。
 

 獣医師の母・椎菜(しいな)と、宝月財閥の当主、父・麗眞(れいま)の間に生まれた彼女。

深明と麗菜は、両親同士が親友。

 それゆえ、昔からよくお互いの家で遊んでいた。

 「麗菜……!
 久しぶりだね!」

「ほんとね。

 またよろしくね!」

「こちらこそ。

 こうして、同じ高校になれてよかった!

 高校生活、楽しもうね!」

再会の挨拶もそこそこに、ふたりは隣同士の席に座った。

 まるでそれは、運命のいたずらのようだった。