マイクとマウンド、夢の向こうへ

その夜。

都内のレストラン。

 夜らしく、照明は少し落とされていた。

直斗は、麗菜と向かい合って座っていた。

 スーツの襟元にはさりげなく春らしいチーフがささっている。

 麗菜のほうは、ティアードワンピースだ。

 襟にたくさんのフリルが使われた、桃の花を思わせる、薄いピンク色。
 
袖はシアー素材になっている。

「麗菜。

 卒業、おめでとう。

 それから、大学合格、おめでとう。

 すごいじゃないか、推薦で合格だなんて」

「……直斗、ありがとう」

 窓の外には、東京の街が宝石のように広がっていた。

 料理の皿が片付けられ、テーブルの上に静けさが訪れたその瞬間。

 直斗はポケットに手を入れ、小さなケースを取り出した。

「麗菜」

名前を呼ぶ声が、やけに真剣で。

 彼女は胸の奥がきゅっと締めつけられるような気がした。