マイクとマウンド、夢の向こうへ

ためらいを溶かすように、もう一度強く抱きしめられた。

やがて直斗は、そっと麗菜の透き通る茶髪を撫でながら囁く。

 「……大丈夫?」

 「うん」

 小さな返事と同時に、彼女の指が彼のシャツの裾をぎゅっと掴む。

 それは、『先に進んでいい』という、麗菜なりの合図だった。

その仕草に応えるように、直斗はゆっくりと彼女を抱き上げた。

麗菜の華奢な身体を、壊れものを扱うように、そっとベッドにおろした。

身を横たえたふたり。

 隙間なくピッタリと寄り添う。

 唇を重ねながら、直斗の手が布の上から麗菜の背に、腰に――そして素肌に触れた。

ひやりとした空気と、彼の掌の温かさ。

 麗菜の身体は小さく震えた。

 「直斗……」

 名前を呼ぶ声は、熱を帯びてかすかに掠れていた。

指と指が絡まり、息遣いが混ざり合う。

 二人は互いを求め合いながら、秋の夜に溶けていった。
 
 今日という夜は、ふたりずつの約束が交差する、静かであたたかい一歩だった。