マイクとマウンド、夢の向こうへ

その日の午後。

 今度は、ヨッシーの家のリビングに通されていた。
 
芳尚の母、由佳が、柔らかな笑みを浮かべて紅茶を差し出した。

「ほんとにもう。

 美人になったわね、深明ちゃん。
 ウチの芳尚には、もったいないくらいよ。


 うちの子を、どうかよろしくお願いしますね。

 あの子、強がってるけど、本当はとっても不器用だから」

 「なんだ。
 向こうに行く報告だけか。

 てっきり、結婚の挨拶も兼ねるのかと期待していたんだがな」

 ヨッシーの父・健一は朗らかに笑った。

「おい、オヤジ!」

「もう、夕方よ。
 何なら、泊まっていくといいわ。

 深明ちゃんなら、大歓迎よ」
 

 夕食を終え、健一と由佳の笑い声がリビングから遠ざかる。

 家の中はゆるやかに静けさを取り戻した。

 深明は少し緊張しながらも、ヨッシーの家でお風呂を借りることにした。

湯船に浸かりながら、今日の会見や両親への報告を思い返す。

 緊張と興奮が入り混じり、心臓がまだ落ち着かない。

 「……ヨッシーの両親、ユーモラスで面白かったな」

 深明は小さく笑い、湯気に包まれた浴室で肩をすくめた。