「ヨッシーくんが、こんなに緊張してるなんて、かわいいわね」

深月がくすりと笑う。

 ヨッシーは少し照れながらも、真剣な眼差しで言葉を続けた。

「……マイナー契約の打診をいただいて、アメリカ挑戦を決めました。

 だからその前に……深明さんのことも、ちゃんと伝えたくて来ました」

一呼吸置き、正面を見据える。

「ぼくは、深明さんと一緒に未来を歩きたい。

 夢を支え合って、どこまでも進んでいきたいです」

深月が目を細め、ふっと微笑む。

「……覚えてる?

 深明ったら、
 “ヨッシーくんのお嫁さんになる”って言ってたの。

 あの頃は、まだ幼稚園だったわね。

「言ってたな、そういえば。

 当時は、そのヨッシーくんとやらに、ちょっとムカついたけどな。

 大事な娘を取られるみたいで」

「……もうっ!

 お母さん!
 お父さんまで!」

顔を真っ赤にする深明に、道明も頬を緩めた。

「彼は昔から、まっすぐだった。

 深明……お前が決めた人なら、私たちは信じるよ」

「……ありがとうございます」

その言葉に、ヨッシーの肩の力がすっと抜ける。

 深明は隣で、静かにその手を握った。