マイクとマウンド、夢の向こうへ

会見が終わり、ざわつきが残る会場。

深明は、背後から肩を軽く叩かれた。

 振り返ると、そこにはMLBスカウトのダニエル・クーパーが立っていた。

「球団の未来まで考えたレポート、見事だった。

 君は、稀有な素質がある」

 その声は穏やかだが、真剣な響きを帯びていた。

「……深明。

 君は“合格”だ。
 ようこそ、アメリカへ──」

短い言葉だったが、心臓に直接刻み込まれるような重みがあった。

「君に賭けたい」

ダニーの真っ直ぐな眼差しを前に、深明は彼の両手をぎゅっと握りしめた。

 「……よろしくお願いします!」

 胸の奥に熱いものが広がり、会場のざわめきも、もう耳に入らなかった。

──これは、自分の夢の新しい始まり。

そう実感できる瞬間だった。

きっと“誰かの夢を支える力”になる。

私は、心で支えるアナリストになる。

 ——マウンドに立つ人の背中を、
——誰よりも近くで、誰よりも深く、読み取る存在に。

 その決意は、もう揺るがなかった。
 
その日の夜、深明の自宅。

静かなリビング。

夕食を終えた深明。

 テーブルの向かいには、深月と道明。

 両親を前に、ゆっくりと口を開いた。

「……それでね。

 その……私も、行きたいの。

 アメリカ。

 ヨッシーと──同じ空の下で、夢を追いたい」