マイクとマウンド、夢の向こうへ

その日の放課後。

空き教室には、夕陽が斜めに差し込んでいた。
 
 ノートパソコンを広げ、課題に取り組んでいた深明。

 画面には、試合映像の一時停止。

選手の動きに、赤いラインを引いている途中だった。

ガラリとドアが開いて、ヨッシーが姿を見せた。

 「ここだ、って巽先生に聞いてよ」
 
深明の向かいの椅子に、ヨッシーは、どかっと座った。

 机に置かれた、野球ボールが覗いている鞄。

ヨッシーが取り出したのは冷たいミルクティーのペットボトルだった。
 
「ほら、これでも飲めよ」

「ありがと」

「頭使いっぱなしじゃ、疲れるだろ」

一息置いてから、ヨッシーは真剣な声で言った。

「……俺。

 アメリカ、行くんだ。

 マイナー契約の打診が来たんだ。

 怪我しても、投げ抜いたメンタルを評価したいって……
 スカウトの男の人が俺に会いに来てさ。

 即答したよ。

 テキサスで挑戦する」