マイクとマウンド、夢の向こうへ

その後、深明が持参した分厚いファイルを部員たちに回す。

「これは、今年の試合分析と来季のチーム戦力レポート。

 新入生の役割や、各選手の課題、練習ポイントまで詳しくまとめてあります」

後輩たちはページをめくりながら、チェックリストに目を通していた。

その瞳は、希望に満ちていた。 

 巽先生にも分厚いレポートを渡すと、彼は校舎内に走っていった。
 コピーでも取るのかな、と思っていた。

 まさか、自分のこのレポートが、未来への扉を開くことになるなんて。

 そのことに気付くのは、もう少し先のことだった。

 投手陣

森下(エース格)

良い点
✔ 直球は140キロ台後半で安定。
✔ 球威で押せるタイプで、打者を差し込む場面も多い。

悪い点
✔ 7回以降に球威が落ちやすい。
✔ フォームの再現性が乱れると制球が甘くなる傾向。

改善ポイント
✔ ランナーを背負った場面では力で押すより「内角低めの変化球主体」へ切り替えること。
✔ 特に右打者への外角スライダーが生命線。

練習時の着眼点
✔ 疲労が溜まる終盤でも同じフォームを再現できる反復練習。
✔ 配球練習で「力勝負禁止ルール」を導入し、変化球判断力を磨く。

 ■メンタル傾向と課題・強化策

• メンタル傾向:序盤は集中力が高く、ゾーンに入ると球威で押し切れるタイプ。

 ただし、終盤にかけて“自分のフォームへの不安”が顔を出す。

 • 心理的課題:疲労とともに「力でねじ伏せたい」欲が強くなり、冷静な配球判断が揺らぐ。

 • メンタル強化策:変化球で逃げる」のではなく「変化球で支配する」意識づけ。
• 自分の“勝ちパターン”を言語化し、試合中に思い出せるようにする。
 



佐伯(成長株)

良い点
✔ リリース角度に特徴あり、打者が差し込まれる。
✔ 打者からの「見えにくさ」が武器。

悪い点
✔ 直球はまだ平均的(130キロ台中盤)。
✔ 球種が少なく、攻略されやすい。

改善ポイント
✔ チェンジアップ習得を最優先。
✔ 左打者の外角低めで勝負できるようにする。

練習時の着眼点
✔ 筋力強化よりも「リリースポイントの安定」に重点。
✔ 捕手とセットで「外角低めの決め球」パターンを徹底練習。

 ■メンタル傾向と課題・強化策

• メンタル傾向:試合前は緊張が強く出る。
 投げ始めると集中力が高まる“立ち上がり型”。

 • 心理的課題:球種が少ないことで「見切られるかも」という不安が投球テンポに影響。

 • メンタル強化策: 「自分の武器は“見えにくさ”」という自信を持たせる。

 • チェンジアップ習得を“自分の成長の証”として位置づける。