マイクとマウンド、夢の向こうへ

8回表、二塁打と内野ゴロで無死二、三塁のチャンスが訪れる。

ここで捕手の高田がバッターボックスへ立った。

彼が放った打球はフェンス際への2ランホームランとなり、チームは追い付いた。

球場の歓声が一瞬揺れた。

なおも1点及ばず、試合は惜敗となった。

 正瞭賢高等学園の夏は、ここで終わった。

 試合終了後。


 球場の喧騒が遠ざかる中、深明の足はまっすぐ救護室へ向かっていた。

 扉を開けると、ヨッシーがベッドに腰掛けていた。

 右脚には包帯とアイシング。

 ふくらはぎは腫れ、熱を帯びていた。

 
深明は、何も言わずに駆け寄り、彼に飛びついた。

 制服の胸元に顔を埋め、ぎゅっと抱きしめる。

 「……何で、無理して投げたのよ……!」

 声は震えていた。

 涙が、制服に染みていく。

 「ベスト8の試合で、ふくらはぎ攣ってたの、知ってた。

 今日だって、途中で足、ひねってた。

 アメリカ行き、なくなっちゃってもいいの?
 ……私は、いやだよ。

 そんなの……!

ヨッシーのバカぁ……!」