マイクとマウンド、夢の向こうへ

3日後。

 準決勝の日が、いよいよやってきた。
 
先発は、正瞭賢高等学園野球部の絶対的エース、斎藤芳尚。

 序盤から緊迫した試合となっていた。

 猛暑の中、選手たちは疲労と戦いながら、一球一球に全力を注ぐ。

 ベンチから見守る深明の胸は、徐々に締め付けられるような重さを増していった。

 全力のストレートに切れのあるカーブ、沈みゆくスプリットを駆使してマウンドに立ち続けた。

 ヒットや四球で走者は出るものの、内野の牽制で進塁を最小限に抑える。

 単発の安打が重なり、得点圏に走者を背負う場面もあったが、三塁まで踏まれることはなかった。

 本塁打もまだ出ていない。

 投手と打者の駆け引きが続いた。

 スタンドの観客も、ベンチ裏の深明も、タブレットから目を離し、試合を見つめていた。

 相手選手はわずかにタイミングをずらしてバットを合わせてきた。

 ピッチャー方向への鋭いゴロだった。

ヨッシーは瞬時に判断し、一塁送球前のベースカバーへ全力で走り込んだ。

 踏み込んだ右足が不安定に着地した瞬間、わずかにひねってしまう。

 その瞬間を、深明は見逃さなかった。